統合失調症
○主な症状
統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な病気です。
幻覚とは、実際にはないものが感覚として感じられることで、最も多いのは、誰もいないのに人の声が聞こえてくる、ほかの音に混じって声が聞こえてくるという幻聴です。幻聴の内容は、本人を批判・批評するもの、命令するもの、監視しているようなものがあります。幻聴に聞きいってニヤニヤ笑ったり(空笑)、幻聴との対話でブツブツ言ったりする(独語)ため、周囲からは奇妙だと思われることがあります。
妄想とは、明らかに誤った内容であるのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。代表的なものとして、「街ですれ違う人に紛れている敵が自分を襲おうとしている」「道路を歩くと皆がチラチラと自分を見る」などの被害妄想があります。時に、「自分は高貴な家柄の生まれである」といった誇大妄想を認める場合もあります。
統合失調症では、このような幻覚・妄想とともに、生活に障害が現れ、日常生活や社会生活において適切な会話や行動や作業ができにくくなります。陰性症状とも呼ばれますが、幻覚や妄想に比べて病気による症状とはわかりにくく、周囲から「社会性がない」「常識がない」「気配りに欠ける」「怠けている」などと誤解されるもととなることがあります。
○治療
統合失調症の治療は、薬物療法と心理社会的な治療を組み合わせて行われます。
治療に用いられる薬物を抗精神病薬と呼びますが、幻覚・妄想などの陽性症状に対する抗精神病作用、不安・不眠・興奮・衝動性を軽減する鎮静催眠作用、感情や意欲の障害などの陰性症状に対する精神賦活作用があります。
心理社会的な治療とは、精神療法やリハビリテーションなどで、当院ではデイケアや作業療法を取り入れています。日常生活での苦痛が強く、休養を希望している場合や、幻覚や妄想によって行動が影響され、通常の日常生活をおくることが困難な場合には入院治療を行うこともあります。
抗精神病薬による治療で幻覚や妄想がいったん改善しても、薬物療法をその後も継続しないと、数年で60~80%の患者が再発してしまいますが、治療を継続すると再発率が減少することが分かっています。毎日きちんと薬をのみ続けるというのは困難なことですが、当院では訪問看護などによるサポートを受けることができます。