「大人のADHD」について
ADHDとは、「Attention deficit / hyperactivity disorder」 の略で、日本語では「注意欠如多動症」と呼ばれる病気です。主な症状には、「不注意」 「多動性」 「衝動性」などがあります。
「不注意」 … 集中力が続かない、気が散りやすい、忘れっぽいなど。
「多動性」 … じっとしていることが苦手で、落ち着きがないなど。
「衝動性」 … 思いついた行動を、行ってもよいか考える前に実行してしまうなど。
〇日常生活でよく見られる症状
職場や学校 | 家庭で | 人間関係 | |
不注意 による症状 |
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多動性 による症状 |
仕事中落ち着かず、 貧乏ゆすりなどをしてしまう |
別のことに夢中になって、 家事を忘れてしまう |
話し始めると止まらず、 自分のことばかり喋ってしまう |
衝動性 による症状 |
不用意な発言をしてしまう | 衝動買いをしてしまう | よく考えずに発言して、 人を傷つけたりしてしまう |
こうした行動は、多かれ少なかれ誰にでも見られますが、症状によって幼少時に日常活動(学習・家庭生活・友人関係など)に問題があり、それが持続している場合には、大人のADHDと診断されます。
ADHDは、不注意優勢型、多動・衝動性優勢型、混合型があると言われていますが、不注意優勢型は他のタイプに比べて問題が目立ちにくく、見過ごされてしまうこともあります。その結果、成長して社会に出てから壁にぶち当たってしまうことがよくあります。
■うつ病と間違えやすい?
ADHDの症状の中で、「不注意」はうつ病などの他の疾患でもよく見られ、間違えられやすいところです。「うつ病による不注意」と「ADHDの不注意」の違いは、それが以前から(幼少時から)あったものなのか、最近目立つようになってきたのか、という点です。
またADHDの方は、うつ病や双極性障害、不安障害を同時に発症していることも多く、その場合はどちらかを優先して治療する方がよい場合もあります。
■診断と治療について
ADHDの診断は、問診により詳しい病歴を伺い、ADHDと間違えられやすい病気を除外して行われます。このため、初診時には子供の頃の情報をご両親などからできるだけ多く集めていただけると助かります。
また、インターネット上のADHDチェックリストで症状をチェックして持参していただくのも大変有用です。
例:大人のためのADHD(注意欠陥・多動性障害)情報サイト|日本イーライリリー株式会社
ADHDと診断がついたら、まずは話し合って治療目標を立てます。ADHDの治療で目指すのは、症状を完全になくすことではなく、程度や頻度を改善することで、ご本人に生き生きとした日常生活をおくっていただくことです。このために具体的な目標を立てて、対策を考えていきます。
症状が強い場合には、お薬を併用することも有効です。朝山病院では「ストラテラ」と「コンサータ」という2種類のお薬を処方しています。「ストラテラ」は24時間、「コンサータ」は12時間効果が持続する薬剤です。効果が出てくるのは「コンサータ」の方が早いと言われています。どちらも副作用として、吐き気、頭痛などが現れることがあります。